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靴のトラブルについて
2004.2.14 東京店:荒井 執筆
寒い中でも芽吹きはじめている木々に、遠くからの春の足音が聞こえてきます。
春の訪れと共にエトスクラブの靴も次第にご注文の数も増えてきましたが、エトスの靴はこれからどんな葉を広げ、を開かせてくれるのでしょうか?楽しみです。
でも、草木に例えれば実りの収穫までには避けては通れないこととして病気や風水害を被ったときどうすれば良いかということも考える必要がありますよね。
そこで今回はこれを靴に置き換えて、新しい良い靴を買ったけれど末永くつきあうためにこれから受ける色んな靴へのダメージを如何に解消していくか、予防も含めてご案内したいと思います。

靴のダメージには次のようなことが考えられます。
1.
コバ表皮キズが付く。
2.
にさらしてしまうと。。。
3.
白い粉やカビが発生してしまうことも!

そんな時皆さんはどうされますか?
それでは早速それぞれのケースについてご紹介しましょう。

コバや甲革に傷がついた時

最初は、私が誤って自らの靴に与えてしまったダメージの例からご紹介いたします。
酔った勢いなのか?知らないうちにどこか硬いところで擦ってしまったようです。
靴底の先が削れてしまいました。
相当無理な力が掛かったようです・・・こんな事皆さんもありませんか?トホホ...

ここまでコバの形が削れてしまうと残念ながら素人では修復は出来ませんが、削れや傷の程度が軽ければ、同色の靴クリームで補色してカモフラージュする事は比較的容易です。
補修材も市販されていますのでそちらを使うのも良いですが、あまりに酷い場合には、靴修理屋専門店で、つま先補修のサービスを受けるのが良いでしょう。
これは歩き方等のクセでつま先の減りが起こりやすい方なども利用できます。

次に、同じく外的なキズとして靴の表側(特に甲革)などにキズを付けてしまうこともあるかと思いますが、これは圧力が掛かり表面の革にシワが寄る程度であれば栄養クリームや補色クリームでかなり目立たなくさせることは可能です。
ですが、一度革が破れて(裂けて)しまうとこれは何をやっても無駄です。(生きていれば別でしょうけど・・・)
ちなみに画像は東京SHOPMASTERの靴ですが、何かを蹴っ飛ばしたんでしょう。
革の一部にシワ(左側の黄色い○印部)が寄っていますがこの程度なら十分補修可能です。

クリーナーで綺麗にしてデリケートクリームを十分塗って補色クリームを塗って磨けば...
ほらっ、この通り殆ど目立たなくなりました。
before
after

雨の日に革底の靴を履くと?

靴を大切に履く人にとっては常識ですが、雨の日には革底の靴は履きません。
でも、予期せぬ雨に見舞われると言うことは多々あります。
そうした時、雨の中を歩き続けると、革底から水分が浸透してきて靴の中が水浸しになります。
ラバーソールの靴を履いてくれば良かった...などと言っても後の祭りです。

このような水浸しになった革は非常に「弱い」状態になっていますので家に着いたら、まず速やかに水分を取り除く事が大切です。

靴底の下にも靴の中にも新聞紙等を敷き詰め水分をじっくりと吸い出します。
そして、一晩かけて新聞紙に水気を移したら,今度はシューツリーを入れて風通しの良いところで今度は立て掛けて陰干しをしてください。型を整えます。
(画像ではを一緒にしてやっていますが、左で靴を普通に置き靴底の水分も新聞紙に吸わせ、一方右の方ではシューツリーを入れて立て掛けて靴裏も乾かすやり方が分かるかと思います。)
その際、直射日光で乾かしたりドライヤーなどで熱を加えることは厳禁です。
急激な繊維の収縮を起こしてしまい「型崩れ」の原因になります。

...と、この辺まではちょっと気を利かせれば普通の人でもするかと思いますが、5年10年と靴を大切にするためには、雨によって革の保湿性に必要な油成分が流れ出てしまっていますからそのまま放置せず「デリケートクリーム」(保革クリーム)で革に栄養を十分に与える必要があります。
こういったことをしないと革はバリバリに堅くなり、表面にもキズが付きやすくなります。 革はある程度の擦り傷であれば補修は可能でも鋭いキズが入り表面が裂けると革は一発でアウトで補修が出来ませんから、こうならないためにも表面は柔らかいソフトな状態にした方が良いです。(ちなみに革底には、「ミンクオイル」が良いです。)

乾燥したり、濡れてしまった革は、その優れた性質を十分に発揮できません。
適度な水分を含んだ革にこそ、革本来の耐久性・撥水性・伸縮性が最大限に発揮されます。
本来革は丈夫で傷つきにくいものなのです。

逆に、クリーム・シューツリーなどのケアを全く施さず、風雨にさらし続けるとこんな風に革底が変形してしまいます。
どんな良い靴でもメンテなしに風雨にさらせばあっという間にこんな風になっちゃいますヨ。
画像は雑な扱いをした場合の例です。
左は雨後メンテナンスをしないで放置したもの。右側は新品です。
左側黄色い矢印部分うねって曲がっているのがお分かりになるかと思います。
本稿のため1足台無しにしてしまいました。とほほ。。。
だからこそ皆さんはこんなことしないで下さいね。
★☆★ ちょっと一言・・・クリームはこんな所へも・・・ ★☆★
新しく靴を履きおろす前や、時々革底にもクリームを塗っておくと良いというのはご説明した通りですが、靴好きの方はよく『土踏まず』にクリームやワックスを塗ります。

歩く動作で足を返した瞬間、地面に直接触れることの無いこの「土踏まず」の部分が後ろの人からよく見えますよね。
特に階段で前を行く人の足の裏はよく見えるものです。
そんな時意外と「あっ、この人良い靴履いている。」とか「あっ、こんな所にも気を遣っているんだ。」って思われる事は結構多いことです。

特に土踏まずの部分は、甲革のようには頻繁にケアする必要はないですし、クリームを塗らないと実害があるわけではありませんが、そういった場所だからこそ気を遣える人が『真の紳士』なのかも知れませんね。
明日通勤時に是非前を行く人の足の裏を見てみてください。
こういうところに気を遣える人は必ず、お洒落ですし全てのバランスが整っている人だと思います。
先に掲載した画像を再掲しますが、黄緑色の□で囲ったところは、クリームを塗った後ワックスを掛けた状態です。どうですか?ツヤツヤしているでしょ。

白い粉やカビが噴いてきたら・・・

雨に濡れた後の靴や、梅雨時に白い粉やにきびのようなブツブツが出たり、カビが浮いてくるといったトラブルが起こることがあります。
これは、革が吸収した汗などの塩分等や、汚れが原因です。
靴は、丸一日履くと足からの相当な汗を吸収します。
一日履いたら出来れば2日は休ませて、革が吸った汗の水分を乾かして欲しいものです。
続けて履いたりすると、靴が汗を吸収しきれなくなり、表面に滲んできます。
そして、汗の塩分が残り白い粉となるのです。(製造過程で使用した塩分が残っていると、何もせずに白い粉が出てくることがあります。)

人と同じように革にも、休養を与えることが必要なのですが、革の通気性のキャパシティーを越えてしまうと、水分が溢れかえってこのような事態になりますし、そもそも塩分は蒸発はしませんからそれは靴にどうしても溜まってしまいます。

こういった場合には、靴クリーナーを用いて、靴表面の汚れを取り除くことが必要です。
靴クリーナーには、クレンジング効果もあるので、皮革に入り込んだ古いクリームやワックスもスッキリと落とすことが出来ます。
市販されている「ステインリムーバー(靴用汚れ落とし)」や「サドルソープ(専用石けん)」などがお薦めです。

そして、革の汚れや、老廃物をスッキリととった後は通常のメンテナンスと重複しますが靴に栄養を与えましょう。
メンテナンスはこちらでも簡単に書いていますのでご参照下さい。


★☆★ ちょっと一言・・・靴の通気性について ★☆★
靴に、保革性のあるクリームや、補色クリームで色を重ねたり、ワックスで輝かせることは長く靴を愛する上で大切なことです。
でも、厚く塗り過ぎると革の通気性や伸縮性が低下してしまいます。
酷い時には、革の表面にヒビが入ったりすることもあります。

人の肌でいうと、一日の化粧を落とさずに風呂に入らず、翌朝化粧をし直せば肌荒れを起こしますよね。
革にも同じような理屈で通気性・透湿性・吸湿性を維持するためには時々靴クリーナーで化粧落としをしてさっぱりさせてあげることが大切なのです。
また、長期間保管する前にクリーナーを施しておけば、カビの原因となる汚れや余分な栄養分も除去できます。

<革はもともと皮膚なのです。>
皮は鞣(なめ)すことで革になるのですから、人の肌に接するように革にも接してあげれば良いのです。
乾いた肌にハンドクリームを塗ったり、化粧をした後クレンジングをするようにお手入れすれば革はずっとみずみずしいままでいられるのです。

ちなみに再掲の画像左では青い□で囲った部分がやや白っぽく見えていますが、これは塩分が表皮にでている物ではなくどうやらWAX(お化粧)の塗りすぎが原因のようです。
靴のこの部分はどうしてもシワが出てしまいますが、そのシワ(溝)にWAXが溜まりやすいのです。
そこで、これも先ほどご案内の通りクリーナー&クリームでお化粧落としをキチンとすれば...
右画像の通りすべすべ素肌に戻りました。
画像ではよく見えないかも知れませんが、BEFORE(左側)では白っぽい筋がAFTER(右側)では深みのある光沢に変わっています。

before
after

シューケア商品のご案内

商売気を出しているようで恐縮ですが、折角ですので具体的な商品も改めてご紹介します。
よろしければ逸品コーナーと併せご覧下さい。

■M.モゥブレイ デリケートクリーム靴用栄養クリーム■
ガラス瓶 50ml ニュートラル(無色)価格 840円(税込 送料別)

革製品はお手入れを怠ると乾燥して硬化や劣化が進みますが、そんな時はモゥブレイ社の靴用栄養クリームがオススメです。
ゼリー状で革によく染み込み、サラッとした仕上がりが最大の特徴です。
シミや色落ちが少ないのでバッグ、ベルトや小物、レザー衣料品等に適していて、スエード等を除くほとんどのレザーに使用できます。
小学校高学年のお子さんがいるご家庭ではランドセルが革製なら使ってみると革が見違えるほど蘇ります。

革が乾いてきた時にデリケートクリームを与えることは、ハンドクリームや化粧水をつけることになります。
そして、雨の浸透を抑えたり、耐久性を高め、しなやかさを保つことが出来るのです。
無色ですのでどんな色にも使用可能です。

■M.モゥブレイ 補色クリーム ■
ガラス瓶 50ml ブラック・ブラウン・ダークブラウン 価格 各色735円(税込 送料別)

本場欧州の靴文化が生んだ正統派靴クリームです。
乳化性の靴クリームは全体に塗り込み、力強く乾拭きしますと優れた光沢と補色力を感じることが出来ます。
特に、黒靴は色の退色が目立ちやすいので、こまめに補色することをお勧めします。

■コルドヌリ・アングレーズ ビーワックス■
ガラス瓶 100ml ニュートラル(無色) 価格 1,260円(税込 送料別)

保革艶だしが同時に出来るので、お手入れが面倒な場合には、これ1本だけのお手入れでもかなり効果的です!
デリケートクリームや、補色クリームだけでは、十分な艶がないと思われる方、表面保護にも物足りなさを感じていらっしゃったら、ご使用下さい。
その名の通りミツバチ(bee)の分泌ワックスをたっぷりと使っていて、浸透性に優れていますので重厚感のある艶が出ます。

以上、
靴のケアについて長々と書いてしまいましたが、やはりトラブルは未然に防ぎたいものですし、トラブルが起きたときのダメージも少なくしておきたいものです。
でも、何も難しく考えることはありません。
簡単に言えば、ご自身の肌ケアと同じように、革をいたわれば良いのです。

その際注意することは、「クリームを付け過ぎないこと」です。
具体的には、ほんの少量づつクリームを加え、革に薄く浸透させるようにすると良いです。
そして、表面繊維の隅々まで届くようにブラッシングし、余ったクリームを取り除くように布を使うことが、本来の「磨く」とことになります。

つまり、革の通気性や伸縮性を損なわないように、革を保湿してあげることがポイントなのですね。

< おまけ >
靴クリーナーについての話をいたしましたので、私からオススメ商品をご紹介したいと思います。
とても優れた製品ですので当社「逸品コーナー」でも近い内に取り扱いたいと思っています。(既に発注はかけましたが入荷は少し先です。)

■M.モゥブレィ ステインリムーバー■
ガラス瓶 60ml  色:無色  価格 630円(税込 送料別)
靴の化粧落とし的な存在で、靴クリームの浸透性を良くし通気性を回復させる効果があります。
布に軽く付け2・3回擦れば、靴表面の塩(白い粉)や汚れ、油やワックスも簡単に落ちます。
皮革にやさしい水性タイプで、驚くほど靴がさっぱりします。
先のBEFORE&AFTERの画像で実証済みですね。