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パターンオーダー会結果報告
2005.08.01 東京店:北 執筆
じめじめした梅雨もようやく過ぎ、日毎に暑さも募り街も人もすっかり夏の装いに変わってしまいましたが皆様、いかがお過ごしでしょうか。

世の職場ではクールビズがすっかり板に付いてきた頃かと思われます。
今年の温暖化防止効果はいかほどか、電力使用量の結果が気になるところですね。
あまり改善されていなければノーネクタイとお国からお触れが出されてしまったネクタイ業界が浮かばれません。(スーツ業界だって多少は影響あったんですから...)

さて、そんなうだるような暑さから、遡ること半年前。
もう皆さん、忘却の彼方でしょうか、当店では小雪が降る2月にパターンオーダーの企画をしました。
   詳細はこちらまで >>>パターンオーダー会はこんな感じでした

今回はこの時にご注文いただいたパターンオーダー靴の仕上がりが半年を掛けて全て完納できましたのでこちらの仕上がりやご感想などをご紹介したいと思います。

 ■ 1足目 遠く札幌からお越し頂いたIさんのオーダー靴 ■

デザイン:
外羽根式プレーントゥ
色  : バーガンディ
 革  : デュプイ製※1カーフ※2
製 法 : 九分仕立て※3

デザインは、通常のプレーントゥと比べると靴紐の穴が多いのでドレッシーというよりはややカジュアル感が増しています。
クールビズに合わせやすそうです。
色は、バーガンディと呼ばれるあずき色のようなワイン色のような独特の色合いです。
スーツであれば紺系がマッチしそうです。
カジュアルでしたらベージュのチノパンやインディゴのデニムで決まりですね。
革は、デュプイ製のカーフで落ち着いた光沢を醸し出しております。
これから磨いていく内に味わい深くなることでしょう。


靴担当北より一言目
いくつか専門用語が出てきましたので解説いたしますね。
※1デュプイとは?
フランスの皮革メーカーの名称。
ハンドバッグ等の皮革製品は100万円を超えるエルメスのバーキン等を筆頭にピンからキリまでありますが、中でも最高級の革をエルメス社へ卸しているのがこのプイ社。(通はデュプイといわずプイと言います!)
それ故、靴用皮革としても最高級ブランドとして君臨しています 。

※2カーフとは?
生後6ヶ月位までの仔牛の革で薄く表面が肌理細かく、繊維構造が最も密なので皺の戻りも良く高級靴は殆どカーフといっても過言ではありません。
カーフ(生後半年まで)
キップ(半年〜2年) ハイド(2年〜3年) ステア(3年〜) と生育年数によって名前が変わります。
とはいっても、厳密にはカーフか?キップか?素人目には見てもなかなか分からないので言葉だけを信じず、信頼おけるメーカーに聞くのが一番です。
革の表面が綺麗だったらキップでもカーフと偽ることは多々あるようですから

※3九分仕立てとは?
最近の製靴業界はスーツ同様、機械で縫ってしまうことが殆どですが、九分仕立ては『忘れないで〜』で詳しくご紹介したように通常であれば機械で縫ってしまう所を極力手作業で行い90%以上を手仕事で作る製法です。
機械で短時間で作業をするのではなく、職人の手と経験でじっくり微妙な力加減をしながら作りますので機械には出来ない味わいや芸術性が現れます。



こうして、仕上がったIさんの靴ですが、お届けしたところ、靴到着後、早速嬉しいメールが届きました。
05.07.03 件名:靴の出来上がりについて
北さん
札幌のIです。 7/2に到着しました。
履くのがもったいないくらいの美しさですね。しばらく飾っておきます(笑)。
小松様にもよろしくお伝え下さいませ。
取り急ぎお礼まで。(札幌市 I)
Iさん、ご感想メールをありがとうございました。
当日はIさんが一番遠い札幌から足を運んで下さり、お越し頂くだけでも嬉しいことでしたが出来上がりを喜んで頂けたようで様々な苦労がようやく報われた気がします。(T_T)

続いては・・・

 ■ Oさんのダブルモンクストラップ ■
続いての画像はOさんのオーダーシューズです。
Oさんは完成図としてキャップと呼ばれる革が付かないプレーンなダブルモンクをイメージしてオーダーなさったようですが出来上がりはいかほどでしょうか。

ストレートチップのつま先のように革を帽子(キャップ)の様につま先に被せて製作した靴の部分のこと。

デザイン:
ダブルモンクストラップ
色  : ブラウン
 革  : デュプイ製カーフ
製 法 : 九分仕立て

デザインはキャップが付いていないダブルモンクストラップです。
シンプルな佇まいでよりダブルストラップを際だたせてくれますね。
ストラップの部分はというとこれが革で作られているのです。(画像左
通常はストラップと言えば↓右画像のようにゴムを使用した物が多いですがゴムは伸びきってしまい締め具合が後々緩くなってしまうことがあります。
そこでOさんは革を用いることにしたとのことです。
右画像は当店の29,400円のダブルモンクのストラップ部分です)

色は従来のブラウンの色と同じような雰囲気ですが肌理が細かく艶々しています。
クリームを塗ったら直ぐ浸透しそうですね。
そして、お納めするとすぐメールで次のようなご感想をOさんから頂きました。
件名:エトスクラブオーダー会の感想
北さん
本日、ようやく先日受け取りました靴を履きましたので感想など聞いていただこうと思いました。
しばしお付き合い下さい。

まずは履く前の靴の感想を。
ヒールカップの形に色気がある良い構えだな〜と言うのが第一印象。
ヒールの大きさも市販品より小さめでエレガントです。
  
〜中略〜
少々気になるところは...
ストラップの部分が大変硬く、特に前のストラップがはずせない。
後ろのストラップも詰めて履こうとしてもはまらず、緩い方を使用中。
何かコツがあったら是非知りたいところです。

う〜ん、どうやら革のストラップが伸縮性があまり無い分、ストラップとしての機能をあまり果たしていないようです。
これはしばらくして柔らかくなるまで履いていただくしかないです...スミマセン。
こちらこそしばしお付き合い下さい。m(_ _)m
でもやっぱりなかなか良いですね

そして、最後は...


 ■ 半カラスのTさんのモンクストラップ ■
こちらもOさん同様にモンクストラップですがこちらはキャップ付き。

デザイン:
モンクストラップ
色  : オリーブ
 革  : デュプイ製カーフ
製 法 : 九分仕立て

デザインは通常のモンクストラップにキャップトゥが付きパーフォレーション※4が施されています。
パーフォレーションがクラシックな趣を加えてくれます。

また当社の通常ラインのモンクストラップではストラップの金具はゴールドで形は四角の角を丸くした感じのが付いていますがTさんの靴は楕円形です。
色はシルバーでここにもオーダー=その人らしさを垣間見ることが出来ます。
オーダーは靴にしかりスーツにしかり楽しい物ですね。
色はオリーブ色で緑色より暗く深みのある色です。
何でもこれからネイビーの靴クリームでアンティーク調に育てていくとか....今後が楽しみです。
そして、他にもTさんの拘りが現れているのが、革底にアクセント半カラス仕上げ※5です。


靴担当北より二言目
※4:パーフォレーションとは
キャップの縁部分やフルブローグであれば全体的に施されている丸い穴の飾りです。
ウイングチップの靴などにあるポツポツした飾り穴です。

※5:半カラス仕上げとは...
通常は
左の画像にように革底は特別な仕上げになっていませんが半カラス仕上げ革底の土踏まず部分を黒く着色しています。
カラス=黒で、それが半分なので半カラスです。
革底全部真っ黒のカラス仕上げもあります。
特段、耐久性等々高まる訳ではありませんが、階段を上る際など下からチラッと見える半カラス仕上げはとてもお洒落で、黒色の効果で革底のウェストが引き締まって見えるから不思議です。


以上、ご注文いただいたパターンオーダーを3足ご紹介しましたが、やはり従来当店で取り扱っている29,400円のラインと比べるとレヴェルはやはり上のようですね。

そこでパターンオーダーのラインの3足に共通する優れた点について考えてみました。

 ■ パターンオーダー3足共通に言えること ■

〜 素晴らしいつり込み 〜

つり込みとは平面的な皮革を靴の木型に当てはめ立体的なラインを作り出す作業を言います。
このため長時間じっくりと木型に重ね合わす必要がありますし、底材とは釘を打ち細かくフィットさせることが必要です。
ご覧下さい。
画像はシートソックを張る前の靴の内側ですが、こまかな釘の跡が無数にあります。
これすなわち掛かった手間暇の数なんです。
よくつり込んでいますね...

木型に長い時間、馴染ませることで型くずれしにくく、いつまでも美しい靴が形作られるのです。
量販品に限らず専門メーカーでも釘を打ち込まず、つり込み機械でガッシャーンと効率的につり込んでしまうメーカーも多く見受けられますので良い靴という物は早く出来上がり過ぎてもいけないということが言えるのかも知れませんね。(^_^;)

その他にもデザインは内羽根式のプレーントゥなのですがアイレット=靴紐部分がサイドに付いているもありました。
こちらもなかなかの逸品です。


こうしてご紹介してみると最初は皆さん頭の中で色々思い描いていた想像図が先ずはデザイン画という2次元に落としこまれ、そして3次元(想像図)=完成品と合致するというオーダーの工程は実に奥深い物があります。
靴に限らずスーツもですがお客様一人一人のイメージを具現化することはなかなか難しいことをオーダー会を振り返り改めて感じました。

次回も開催できれば良いのですが皆様の熱いご希望が沢山あれば第2回も出来るよう頑張ります。
ご意見、ご声援お待ちしております。