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靴もこんがり日焼け !?
2005.09.2 東京店:北 執筆
ミーンミーンミーン、、、と蝉の鳴き声が止まぬ季節ですがカレンダーではもう早、立秋です。
そろそろ秋の足音が聞こえてきてもよさそうな晩夏ですね。
街中では真っ黒に日焼けした高校球児らしい少年を見かけることも多くなりました。
その姿は正に青春真っ盛りといったところでしょうか。
そんな若さが眩しくありますが、歳を重ねると紫外線の強い夏の時期は肌の手入れが大変ですよね。
シミ、そばかすが気になるのはもはや女性だけではなく男性も気を遣う時代になりました。
メンズコスメの売れ行きも良いと聞きますし....肌の日焼けが気になりますがそう言えば靴は日焼しないのでしょうか?
黒い靴が日に焼けてさらに黒くになってきた!なんて聞いたことがありません。
焦げ茶色が黒ずんできたというのは左記画像のようにクリームなどが浸透した影響がありますが革はどちらかというと日に当たると白っぽく変化します。
では、やっぱり靴は日焼けをしないのでしょうか。

いいえ、実は日焼けする靴があるのです。
それはヌメ革で出来た靴です。
ヌメ革...ヌメという響きにヌメ革好きな方は反応して頂けると思いますがいかがでしょうか。
そんなヌメ革の靴ですが今年の2月に開催したパターンオーダー会でもちょっとご紹介しておりましたがその後、初夏にもヌメ革仕様のオーダーを頂き、それが最近 完成しましたので早速皆さんにご紹介したします。
いやはや、ヌメ革靴が完成に至るまで紆余曲折がありまして...なかなかヌメ革で靴を作るのは大変でした。

それでは、先ずは出来上がりをご覧ください...
なかなかの出来栄えで格好いいでしょう。(親ばかでしょうか....)

この何とも言えない色合いのヌメ革ですが一体どんな革だと思いますか?
こだわりの名刺入れの時もご紹介いたしましたが再度詳しくご説明いたします。
ヌメ革関連の記事はこちらをどうぞ♪
 >>> 忘れないで!2/19(土)です!!(その2)
 
>>> こだわりの名刺入れ

 ■□■ ちょっと一言・・・ヌメ革とは? ■□■
ヌメ革とは、動物の皮を剥ぎ体毛や不要な脂肪等を取り除き、塩漬けしたり、灰汁(あく)を抜くためタンニンと呼ばれる植物の“”が出た水槽に漬けて鞣(なめ)した革を言います。
ヌメ革を鞣す上での原料となるタンニンですが、自然界では葉や実、茎にもありますが主に樹皮を原料としています。
この鞣しの方法は、先史時代からあったと言われていますから驚きですね。

渋の濃度が違う水槽に一日数時間ずつ漬け込むこと4〜5ヶ月
化学反応でゆっくりと皮の繊維を収縮させて、やがてそれは革になります。
そしてその革は普通であればその後染色乾燥研磨を経て、市場に出荷されます。

今回のヌメ革は、染色していない素上げ仕上げという状態で出荷される革を使用していますから革本来のベージュの色合いです。

また、ヌメ革はいわば肌そのものであり、革の表面を銀面と言うのですが銀面に傷などがない物が良しとされています。
このため製革工場ではキズが付いていない(少ない)皮を仕入れる事が肝要で、牛君達がどういった育ちをして来たのかなど、産地にもこだわって仕入れているそうです。
牛君達の素肌(=生きた証)ですからそこには血管が通っていた血筋ケンカしてついたキズもあります。
普通染色してしまえばこういったものも殆ど目立たなくなりますがヌメ革ではそういう訳にはいかないので革そのものの質が問われます。
当然キズがない方が良いのですがそんな革は殆どなく、質の高い革は高級靴ブランドでもなかなか手に入れるのが難しいのが現実です。

その他の難点としては革を靴用に薄くする時に使う工具の刃の鉄分がヌメ革に付着し左の画像のように黒い点となってしまうこともあります。

これはヌメ革を生産する上で避けられず、鉄分を取り除く溶剤を使用してもどうしても少しは残ってしまいます。
このあたりの事は牛君達が生きてきた証と人の手を介したエコロジーな生産工程故、大目に見てください。m(_ _)m

更に詳しくヌメ革を説明すると...
ヌメ革は人間で言うなれば化粧が乗りやすい素肌の状態。
素肌に化粧水が染み込み易いのと同じで、ヌメ革も水や靴クリームが浸透しやすく、そしてそれは紫外線が当たると変色して薄茶色に変わります。
つまり化粧水(=靴クリーム)が酸性だったら革も黄色ぽっくなり、アルカリ性の物が付着すると赤ぽっくなりますし、紫外線で日焼けもするのです。

ヌメ革は革製品の中では鞄の取っ手などにもよく使われますが、こういった物は使い込んでいく内に飴色の深み・味わいが出てきますが、これも革が汗を吸収してPHが上がりそれが原因で色が変わったり、他方脂や汚れでも黒ずむからこのような風合いに変わっていくのです。
この変化こそがヌメ革ファンを魅了して止まないところなのです。
育て甲斐があるというものです。



そんなヌメ革を使用した靴ですがパターンオーダー会の受注分では納期が遅れてしまいました。
色々な要因が重なり合って遅れてしまったのですが3つのことが主な原因でした。

 ■ 納期遅れの事情
□ 革の手配が難しい □
上述した様にキズがあったりシミがあったりとなかなか良い革が見つかりませんでした。
靴を製作する上ではパーツ毎に色の差違が極力出ないようにしなくてはいけませんから色合いを近づけたかったのですが、この点はスーツの生地で言う『釜違い』と同じで染料等の配分が同じでも染める時期やタイミング、気温・湿度が違うと色の差違が出てしまうのです。
これに加え牛君達が生きている間に浴びた紫外線の量も各個体で違う訳でヌメ革は特に選りすぐるのはどうしても時間が掛かってしまいます。

ご参考:生地の釜違いとは・・・
生地は反物毎に染め上げますが、同じ染料(種類・量)で染めても釜が違うと微妙に色合いが変わるため釜違いの生地で仕立てると仕上がりに違和感が出ます。
このため同種の生地を複数仕入れるときは同じ釜で染めたかどうかを確認しなくてはいけません。

□ 製作が難しい □
ヌメ革は化学薬品を使用せず鞣しているため硬い仕上がりになります。
その為、縫い辛く過度に負荷を掛けると硬いのでヒビが入ってしまうことがあります。
細心の注意を払って仕事をせねばなりません。
因っていつもより製作する時間が掛かってしまうのです。
また、工房でもヌメ革の靴製作にあたっては日頃ヌメ革などは使わないため、慣れていないこともあって上手く仕上げられない事がありました。

□ 検品が難しい □
通常我々は工房から仕上がって来た靴を検品して皆さまにお納めしています。
普通のビジネスシューズの様に黒、焦げ茶といった色目でしたら当然ヌメ革のような傷跡等は染まっているので殆ど分かりません。
一方、ヌメ革というと色は明るいのでそう言った勲章が目立ってしまいます。

また、工房で作業するに辺り縫製マシーンの機械油や仕上げの染料などが付着していたりします。
これでお納めする訳には参りませんので一部作り直しを余儀なくなりました。トホホ...

こうした事情により今回は通常3ヶ月納品より1ヶ月遅れてしまっての納品となりました。
遅れてしまいそうなお客様には前もってお詫びのご連絡をしてご容赦頂きました。

ふーっ....以上、紆余曲折ありましたが何とか完成です。

その後、完成した靴をお客様の許可を得て、味だし加工前の下ごしらえをすることにいたしました。
先ずはステインリムーバーを使い表面の汚れを取ろうと塗った瞬間直ぐに色が変わり、失敗したかとヒヤッとしました。
...が、直ぐにステインリムーバーが乾き元の色に戻りました。(^_^;)
続いてデリケートクリームを塗るとこちらも直ぐに色が変わり浸透していく様子が良く分かります。
画像の左が塗る前、右が塗った後です。

表面の色が変わっているのがお分かり頂けると思います。
日焼けしたみたいですね。
高校球児とはいかないまでも経年経過から来る何とも言えない味が出るのが今から楽しみです。
色合いから季節的に春夏ですが靴クリームなどでお好みの色合いにして画像のように秋冬仕様にするのも良いかも知れません。
それとも、自然に色が変化した感じを出したいのでしたら以前オーダー頂いたKさんのように光熱電球で味出しするのも良いアイディアかも知れません。
流石、洋服好きのKさんです...お見逸れいたしました!

ヌメ革靴は、お客様自身とともに変化する靴と言えるでしょう。
オーダーの際はヌメ革の特徴をご理解頂いてから是非ご検討頂ければ幸いです。
お待ちしております。



追伸:
この場をお借りしてこんな事を申し上げるのは大変心苦しいのですが...
実はユーロ高の定着・原価高騰の影響がありシューケア用品の一部に価格変更が加わりました。(9/1ご注文分から新価格適用です。)
どうかご理解の程お願いいたします。
商品名
旧価格
新価格
 コルドヌリ・アングレーズバネ式シューツリー   7,875円(税込)  8,925円(税込)
 コルドヌリ・アングレーズネジ式シューツリー   8,400円(税込)  9,450円(税込)
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