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はじめの一歩
2006.3.27 東京店:北 執筆
季節は日に日に春に近づき、少しずつ桜の木も薄紅色に色付き始めました。
春と言えば卒業式での別れから入学式での出会いあり、と色々大変な時ですよね。
新しい制服やスーツも用意しなければなりません。

靴も今までのローファーやスニーカーから革靴へと変化する時でもあります。

新社会人になる方は社会に出れば足元を見られますので、自分の立場をわきまえた適正な靴を手に入れる必要があります。
ガンガン歩き回る職種であれば靴底はゴムが良いですし、しっかりとした印象付けをしたいならばレザーソールの方が賢明です。

そんな何かと新しい物が必要になるこのシーズン、私もオリジナル製靴に向け1足見本靴製作の依頼をすることにいたしました。

さて、
オリジナル製靴の第1歩となる見本靴ですがどういう靴にしようか先ずは(1)〜(5)の順に大まかに決めていきました。

■ (1) 木型 ■

先ず始めに靴の形=木型を選ぶことから始める必要があります。
木型といっても様々な形があり、それこそ爪先が極端に長いロングノーズ型四角いスクェアトゥなど色々です。
トレンドを追うか、それとも永久定番的スタイルをチョイスするかこれまた悩ましいところです。
長考した結果、先ずは当社のオーダースーツの顧客層を鑑みてオーソドックスな木型を選定することにいたしました。

■ (2) デザイン ■

デザインはこれまで取り扱っていたデザインは定番中の定番で新たなラインでも出来ますが、 それでは差別化ができませんので、今回は今までに取り扱ったことのないデザインを考えることにしました。
内羽根式、外羽根式(※1)どちらにしようか...

そこでデザインソースとして雑誌に掲載されている靴をベースにして見本靴のデザインとすることにしました。
※雑誌は著作権上、掲載出来ませんのでイラストにいたしました。

デザイン的特徴を挙げると甲革の部分が一段低くなっているのが特徴で正面から見ると羽根周りを取り囲むように竪琴のようなスタイルです。
そして、この甲周りとトゥキャップにメダリオン(※2)を施す仕様にいたしました。



(※1)内羽根式・外羽根式とは...
羽根と言われる靴紐の部分の革が内側に潜り込んでいることから呼ばれるのが内羽根式。
その一方で、甲の部分の革が外側に開いているデザインを外羽根式と言います。

(※2)メダリオンとは...
パーフォレーションとは大きい穴と小さい穴を組み合わせて見た目に変化を付けている意匠をいいます。
これを交互に繋げて靴の革縁の曲線部分に使用したりストレートチップのようなつま先の革部分に使用したりすることが多く、フルブローグはこれを全面に施すことでボリューム感を出しています。


■ (3) 製法 ■

靴の根幹を占める底付けの方法ですがこれはグッドイヤーで決まりです。
メーカーではグッドイヤーの他、接着剤を使ったセメント製法やマッケイ縫い等色々ありましたがリペアがし易いのと丈夫さでグッドイヤーにいたしました。
製法の詳細はこちら↓まで。
    >>>靴の製法について

■ (4) 革 ■

革の善し悪しで靴の印象は大分違いますのでここがかなり重要な要素です。

早速、バンチと呼ばれる革見本の束を見せてもらい検討いたしました。
革は主にデュプイ社(※1)のカーフ(※2)で色はブラックブラウンダークブラウンバーガンディネイビー、珍しいところでダークグリーン等々、数十色ありました。
ここもビジネス色の強いをチョイス。
(※1):デュプイとは?
フランスの皮革メーカーの名称。
ハンドバッグ等の皮革製品は100万円を超えるエルメスのバーキン等を筆頭にピンからキリまでありますが、中でも最高級の革をエルメス社へ卸しているのがこのプイ社。(通はデュプイといわずプイと言います!)
それ故、靴用皮革としても最高級ブランドとして君臨しています 。

(※2):カーフとは?
生後6ヶ月位までの仔牛の革で薄く表面が肌理細かく、繊維構造が最も密なので皺の戻りも良く高級靴は殆どカーフといっても過言ではありません。
カーフ(生後半年まで)
キップ(半年〜2年) ハイド(2年〜3年) ステア(3年〜) と生育年数によって名前が変わります。

■ (5) ソール ■

ソールはレザーソール、ビブラムソールその他突起状のゴムソールなんてものもありました。
ソールもオーソドックスにレザーソールを選択し、ソールの仕上げだけは少しこだわって、半カラス(※1)ドブ伏せ縫い(※2)にしました。
(※1):半カラス仕上げとは...
通常革底は特別着色していませんが半カラス仕上げ革底の土踏まず部分を黒く着色しています。
カラス=黒で、それが半分なので半カラスです。
革底全部真っ黒のカラス仕上げもあります。
特段、耐久性等々高まる訳ではありませんが、階段を上る際など下からチラッと見える半カラス仕上げはとてもお洒落で、黒色の効果で革底のウェストが引き締まって見えるから不思議です。

(※2):どぶ伏せ縫いとは...
革底の端を薄く剥ぎ、革底とウェルトを縫いつけた後、再度薄く剥いだ革をもとに戻し接着させて革底に縫い目が見えないようにする技法のことを言います。
見た目の綺麗さと縫い目が出ていない分、少し耐久性も向上します。


ふ〜、色々選択項目があり選ぶのも大変でした。m(_ _)m

あとは、完成を待つばかりです。
果たしてどうなることやら... 結果は如何に??

それでは、また次回の更新をお楽しみに〜(間に合うかなぁ〜)